お手軽投稿室〔感想〕

 
 男は眠さに堪えきれず、家につくなり椅子にもたれかかった。
 この眠さをさますのには一体何が一番効率的かを考えた男は、ほとんど感覚の残っていない身体を無理矢理動かし、最後の力を振り絞ってリビングからウイスキーを持ってくる。
 本当はマーティニでも飲みたいところではあるものの、一年前会社が倒産し、職を失ってしまった男にはもはやマーティニを飲むだけの金もなかった。
 通帳を見ると、金は既に一円もなく、借金の取り立て人が毎日の様にやってくる。
「はぁ……」
 長いため息だった。このため息で眠さと辛さと借金から解放されればいいのにな。とも思ったが、現実はそんなに甘くない。
 男はウイスキーをロックのまま飲み始める。
 元々水割りでしか飲んだことのない男にとって、ロックで飲む事は相当にきついかった。男は一瞬顔をしかめたが、最後の飲み物とだけあって思いっきりコップを傾けて飲み干す。
 眠気は無くなってはおらず、むしろよけいに眠気が悪化したように思える。
 とにかく眠かった。
 既に動くだけの気力も残っていない男は、もはや何をしようとも思わなかった。
「やはり、残ったものはこれだけか」
 そう言って男がポケットの中を乱雑に漁る。そのポケットからは、小さなダイヤのついたネックレスが出てきた。とても小さく、げっそりと痩せ細っている。しかし、間違いのない本物。とはいえ、どう考えても男に似合うはずのない女性用のネックレスであった。
 そのダイヤの妖しい輝きを見るや、男はふっと笑みを浮かべてしまう。
「愛しいお前はいつまでもこの輝きを保っているのかな」
 それは恋人への別れを告げるかの如く優しく、寂しい言葉であった。
 男は決心し、立ち上がる。
 ネックレスをテーブルに置き、ウイスキーもそのままの状態で置いておく。
 そして側にあった金庫の中からとりだしたものは、一丁の拳銃であった。
「さようなら、愛しき君よ」
 その言葉は一発の銃声にかき消され、再び部屋は静けさを取り戻した。



 以上が自分が推敲した本作品です。見てのように、地の文の一行目の最初は空白を一つ入れます。

 会話文は開けません。他にも文章作法はあるので質問があれば受け付けますよ(*^^*)

 では〜。


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