俺は子供の頃、エレベーターを正しく言えなかった。 別段可笑しい事は無い。ただ、それを親が昔の事を話す度に出すのがどうしようもなく嫌だった。 夕方息子が帰って来てすぐ、俺の腕にぶら下がり学校であった事を嬉々として話しだす。 今日は社会見学か何かでどこかの会社のビルに行ったらしい。それでエレベーターに乗ったそうだが。 息子が昔の俺と同じ言い方をしているのが気にかかる。 「でね、そのエベレーターがね、」 正しい言葉を教えるべきだろうな。 「エベレーターじゃなくてエレベーターだ」 息子は首を傾げた。 「だってばーちゃんが、おとーさんもぼくくらいのときにはこういってたって」 なるほど。 「じゃばーちゃんに言っとけ、息子に間違った教育施すなって」 「ほどこすって?」 「教えるって意味だ」 息子は新しく得た知識を広めに隣室へ走っていった。 暫くして妻が隣室から出て来た。 「寝ちゃったみたい」 「そうか」 「シンたら面白いのよ、ほどこすを間違えてほこどすなんて言うんだから」 そーゆーDNAか? でもその息子の言葉を広めたい自分がいて軽く驚く。 なるほど、俺の親もこんな気持ちだったのかな。 少し楽しくなって、隣室を覗く。 タオルケットにくるまって眠る息子がいた。 <<重要なお知らせ>>@peps!・Chip!!をご利用頂き、ありがとうございます。
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