とんがりボウシと魔法の365にち 〜ほしぞら魔法学校より〜 Part3
第109話*りんねとコハネ

行かなきゃ……だけど、行けない……。
どうしよう……。

あたしは今、りんねの部屋の前にいる。
なかなか入れない。
……怖いから。

「……入ろう!!」

あたしは扉を思い切り開け放つ。
中には哀しそうな顔をしたりんねがいた。

…………あれ?

「り、りんね……?」

「……ショート……、何?」

「え、あ、いやその……。

な、何してるのかなぁって……」

「……別に何もしてないわよ」

うっ……。
理由は言えないし……
変なこと聞いてりんね怒らせる訳にもいかないし……。

ど、どうすればいいんだー!!

「……ねぇ、ショート」

「えっ、あっ……な、何?」

「ショートは……約束とか……昔のことでも守る?」

や、約束……。
守らないこともないけど……絶対覚えていられる自信は……ない、な。

「……び、微妙かなぁ……」

「そう……」

「あっ、も、もしかしてー、その事でコハと何かあったのー……?」

む、無理やりっぽい……!?
いや、そんなこと、ない、はず……!!

「……そうよ。

ひょっとして、その事聞きに来たの?」

「えっ!? い、いやそういう訳じゃ……!!」

「いいのよ、別に。

最初からなんとなく勘づいてたし」

ば、バレてたのっ……!?
や、やっぱりりんねは鋭いなぁ……。

「まぁ……、あたしとあの子は違うから……。

仕方のないことなんだけど……ね」

「……? 何があったの……?」

「あたし……12年前にあの子と約束をしたの……」

「約束……?」

約束って、何の約束だろう……?

「まぁ、12年も前の約束……覚えてなくたって、しょうがないわよね。

……でも……、あたしにとっては……」

りんねはそう言いながら、一筋の涙を流した。

……えーと……、どうしたらいいのかなぁ……?

「りんね……?」

「ゴメン……少し一人にして……」

「……うん、ゴメン……」

あたしは部屋を出て、静かに扉を閉める。

……りんねの話を聞く限り、コハが昔の約束を忘れちゃってて……。
それで、りんねが怒った、と……。

つまり、コハがその約束を思い出せば、りんねの機嫌も良くなる、と!!

でも……12年も前のこと……、思い出せるかな……コハ。

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