とんがりボウシと魔法の365にち 〜ほしぞら魔法学校より〜 Part3
133話*売り言葉に買い言葉

「うぅ……」

結局あたしは手錠でしばられたままりんねを探すハメに。
こんなことになるなら悪戯なんかしなきゃよかったよ……。

「おい、お前りんねの行きそうなとことか分かんねぇのか?」

「それが分かるならあたし達こんな苦労しないですんだんじゃないかなぁ……」

「……まぁ、そうだな」

それにしても何でてんまは森だの洞窟だのを探すかなぁ……。
暗い、暗すぎるっ!

「ねぇ、ほかの場所探そうよぉ……」

「はぁ? ほかってどこだよ。具体的に言え」

「え? えぇっと……た、例えば……海とか?」

「んなトコ探してどーすんだよ。隠れる場所ねーだろが」

うっ……。
しかし森だの洞窟だの探してる人にそんなことは言われたくないやい!

「ちっ、違うもん! 海の中とか!」

「……はぁ?」

……我ながら馬鹿なことを口走ってしまった気がする。
いや、気がするどころか確実にあたしは馬鹿なことを言っている。

海の中になんか隠れられるわけがない!!!!
というか隠れたとしてもこの季節に私服で!!?? ってなるし。
入っても息止めていられる時間なんか限られてるし……。
あぁ、また馬鹿にされるんだるな……。

「…………正直、お前の馬鹿さ加減には感心するわ……」

「かっ、感心するところじゃないよっ!
てんまだって馬鹿でしょ!」

「いや、お前は別の意味で馬鹿だ。
常識を覆す感じの馬鹿だと思う」

……ようするに超絶馬鹿だと言いたいんだねコイツは。

「じゃー分かった、お前の言うように海の中にでも探しに行くか」

「え!!?? 本気で言ってるの!!??」

「いや、言いだしっぺのお前がな?」

…………こいつ!

「な、なんでよ! あたし海の中なんか入らない!」

「お前が言ったんだろ?
というわけで行くぞ」

「いやああああ」

……と、あたしは無理やり海に連れて行かれることに……。
あたし、ここまで自分の発言を後悔したことないかも、人生初かも…………。

「じゃあ、はい。どうぞ」

「入らないってば!」

ニヤニヤしながらあたしのことを見るてんま。
ホントにこいつはーっ……!

「え? 自分が入れるから言ったんじゃないのか?
じゃあ何で言ったんだ? ん?」

「う、ううううるさーいっ!
は、入ればいいんでしょ入ればっ!」

「え……っ?」

正直、ここまで自分が馬鹿だとは思わなかった。
さぁ、今の季節を言ってみよう。

せーの、春! つまり海に入るにはまだ早い!
入ったら風邪ひくに決まってる!

……だというのに。
売り言葉に買い言葉みたいな感じで制服を着たまま、春のまだ冷たい海に勢いよく飛び込んでしまった。

「……ぷはっ! ほらこれで文句無いでしょ!」

「……んじゃ探してくれば?」

……そういえばそれが目的だった。

っていうかこのクソ寒い海に何十分もいろといってるのかあの男は!

「わ、分かったよ、さ、探せばいいんでしょ探せばーっ!」

と、後ろを振り返った瞬間。
あたしは見たくもないものを見てしまった。

「あ、あぶなっ……!」

強風や大雨が吹いているわけではない。
が、突如それなりに大きな波があたしを襲った。

てんまの声が聞こえるか聞こえないかくらいのところで、あたしはその波にのまれてしまった。

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