とんがりボウシと魔法の365にち 〜ほしぞら魔法学校より〜 Part3
137話*ムードクラッシャー・ショート

「じゃあてんま……」

ふと、思い付いたようにメルシィさんがてんまのことを呼んだ。

「な、なんすか」

「てんまが今言っちゃえばいいのよ」

そういえばそうだ。
それが一番手っ取り早いよね。
気付かなかったよ!!!!

「メルシィさんの言う通りだよ!

さあ、吐けてんま!」

「な、何でお前なんかに……!!」

てんまがそう言うと、メルシィさんがからかうような表情を浮かべながら言った。

「あら、よく考えてご覧なさいよ。

本当に一番伝えなきゃいけない相手は、ショートなんじゃない?」

「うっ……!」

メルシィさんにそう言われてぐうの音も出ないてんま。

……あたしに一番伝えなきゃいけないのにあたしだけ知らないってどういうことだろうか。

「別にそろそろ言ってもいいんじゃない?

出会った当初と比べたら、随分仲良くなったと思うわよ、貴方たち」

「いや、でも……!」

「いつまでも言わないでいたら、どこかの誰かに取られちゃうかもしれないわよ?

ふふふ、あたしは外にいてあげるから、頑張りなさい」

「うぅ……はい…………」

…………?
何の話だろ……?

「てんま、どうかしたの?」

「……いいよ、教えてやるよ、さっきのこと」

「え、ホント?」

どういう心境の変化だろう。
まあいいか!

……それにしても、さっきから鼻がムズムズするよー。

「じ、実は……」

「実は?」

「オレ……ずっと前から、お前のことが――――……」

「――くしゅんっ!!」

んん……、さっきから鼻がムズムズすると思ったら、これか!
おかしいなあ、風邪は引いてないはずなんだけど……。

「うぅ……ティッシュ、ティッシュ…………」

「………………はぁ……」

あたしが鼻をかんでいると、隣でてんまが大きなため息を吐いていた。

「あっ、ごめんねてんま!

それで、結局何?」

「……うん、なんていうか……お前のせいで言う気失せた」

「えぇっ!? そんなぁ……」

ガックリ……。
くしゃみ、我慢すればよかったかなぁ……?

「…………また今度、気が向いたら言ってやるよ……」

「……? うん、じゃあ待ってるね!」

てんまの言う気を無くしてしまったのは紛れもなくあたしだし……。
今度教えてくれるって言ってくれたし、それまで我慢しなきゃだよね!!

「……じゃ、次行くか」

「うんっ!」

そう言ってあたしたち二人はライムライトから出る。

「……あら、てんまちゃんと言えたの?」

「え、いや、えっと――――――……」

……てんまがメルシィさんに連れていかれてしまった。
何の話だろう……?

「――――――――――だからね?」

「…………はい……」

「じゃ、二人とも、りんね探しの続き頑張りなさいな」

「あ、はい、頑張ります!!」

そうだ、急いでりんね探さなきゃ……!
じゃないと、あたしのご飯がなくなってしまう……!!
それは嫌だ!!!!

「次は――――……」


――――と、そんなこんなで商店街を回りつくした。
しかし、りんねは見つからなかった。

うぅ……どこいるのかな……?

「商店街の次は、どこ探すの?」

「んー……今日学校休みだし、人いないから、案外隠れる場所あるかもな。

それに割と広いし……」

「じゃあ、次は学校だね!」

あ……そういえばコハはどうしてるかな……?
まあ、見つけたら連絡くらいくれるだろうし、連絡がないってことは、まだ見つかってないんだと思う……。

それにしても、りんねは本当にどこに行っちゃったんだろう……?

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