1/2ページ目 高校一年の春、俺は不思議な物を見つけた。 ゆるやかな風に舞い散る桜とともに、それは俺の目に色鮮やかに焼きついたのだ。 それは無用階段だった。 ただ、不思議なのはそれが住宅地にあるということ。 なぜこんな所に…と始めは思った俺だったが、階段を見つめていると次第にその気持ちは薄れていった。 それよりも、好奇心が俺の中ではふくらんできていたのだ。 俺は階段の上の方を見つめ、口元で笑うと一気に階段を駆け上った。そして、腰を降ろす。少々高い所に位置しているのか、階段の上は見晴らしがよかった。 「へぇ…高いな。」 思わず独り言をつぶやく。なかなかやるな、階段よ。いい所にあるじゃんか。 俺が軽く手でポンポンとたたいていると、下で大人達の笑う声が聞こえてきた。下を見ると、こちらを横目で見ながら笑っている。 いつの間に…さっきはいなかったくせに!…にしてもはずいな…逃げるか。 俺は大人達の視線から逃れるため、腰を上げると全速力で階段を下りた。そのまま駅の方に走る。 走りながら後ろを見ると、階段が『また来いよ。』と言っているように見えた。 おぅ、また来てやるよ。 そして俺は坂を下っていった。桜舞う暖かい日の事だった。 [指定ページを開く] <<重要なお知らせ>>@peps!・Chip!!をご利用頂き、ありがとうございます。
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